生後1年から6歳までの猫を成猫と言い、人間でいうところの青年期から壮年期に当たります。病気をせずに老年期を迎えさせてあげるには、この時期の食事が大事です。
成猫になってから一番気を付けたいことは、さまざまな病気のリスクを高める「肥満」です。成長が止まってから食べ過ぎで太ってしまう猫は近年増えていると言われていますので、飼い主がしっかりと健康管理をしてあげる必要があります。
猫の肥満については「肥満の猫は要注意!糖尿病のサインとキャットフードの選び方」でまとめています。
猫の無駄食いや食べ過ぎを解消するには、猫本来の生態をよく把握して、理想的な栄養バランスの食事をさせるのが一番です。ここでは、愛猫の健康維持のためにどんなキャットフードを選べば良いのか、具体的な商品名を挙げて紹介します。
キャットフードお品書き♪
1歳を過ぎたら子猫用から成猫用のキャットフードに
生後1年までの子猫には、成長のためにたくさんのエネルギーや栄養素が必要です。そのため、子猫用のキャットフードは、タンパク質量や脂質の量、カロリーが高めになっています。
子猫のキャットフードについては「成長に必要なのはタンパク質!6ヶ月までの子猫にオススメのキャットフード」でまとめています。
一般的な大きさの猫は約1年で成長が止まりますので、それまでと同じ食事を続けていれば、当然太ってしまいます。
そうはいっても、市販されている低脂質・低カロリーのダイエットフードにいきなり切り替える必要はありません。高タンパクなプレミアムフードを離乳食として与えていたなら、カロリーオーバーにならないように量を調節すれば良いだけです。
猫は食いだめをする習慣がない動物ですので、日々の活動に必要な脂質やタンパク質が十分に摂取できていれば、無駄食いはしないはずです。また、脂質は猫にとって最も消費しやすい栄養素ですので、肥満を気にして脂質をカットすると、満腹感を得らないためにかえって食べ過ぎを招いてしまいます。
成猫用のフードはどんなものがいいの?原材料から判断する方法
肥満を予防し、健康な体を保つためには、猫が本来野生で食べていたものに近い食事をさせる必要があります。ホームセンターなどで市販されている安いキャットフードの中には、本来の食生活からほど遠い栄養バランスのものもありますので注意しましょう。
また、愛猫にできるだけ長い間元気でいてもらうために、体に良くない添加物や健康被害のおそれもある粗悪な原材料を使用したものは避けるべきです。パッケージに記載されている原材料から、栄養バランスや安全性を推測する方法を紹介します。
原材料の一番左に動物の肉材料が表示されているものを選ぶ
猫は本来完全な肉食動物ですので、肉や魚を主原料としたフードが理想的です。ペットフードのパッケージには、使用されている割合の多い順に原材料が記されていますので、左上に肉材料(チキン、サーモンなど)が来ている商品を選びましょう。
成分比率としては、タンパク質が30%以上のものが理想と言われています。また、猫が日常的にエネルギーとして消費する脂質は、20%程度あると栄養不足に陥る心配がありませんし、満腹感を得られずに無駄食いをすることもなくなります。
メーカーによっては、成分比率を公式サイトに掲載していることもありますので、今食べさせているフードに不安があるなら、公式サイトで調べてみることをおすすめします。成分比率を明記していないメーカーのフードは、安全性や栄養面であまり信用できないと思った方が良いかもしれません。
消化できない穀物の少ないフードで食べ過ぎを防ぐ
市販されている安価なフードの原材料を見ると、最初から3番目までに麦類やトウモロコシなどの穀物の名前が記載されているものがほとんどです。これは、フード全体に占める穀物の割合が多いということを表しています。
猫にとって穀物は、食べられなくはないけれど必要がなく、消化しにくい食べ物です。栄養として吸収できないのですから、穀物の多いフードを与えていると猫は慢性的に栄養不足になり、満腹感を感じられません。穀物が多いダイエットフードにしたら余計太ったという話をよく耳にしますが、これは十分な栄養を補給できなくなり、食べ過ぎた結果と考えられます。
また、穀物は消化に悪いので、下痢などの健康トラブルの原因になります。消化器が悪くなるとさまざまな病気にかかりやすくなってしまいますので、原材料を見て3番目までに穀物が入っているフードは避けるべきです。
下痢になった場合の対処法については「愛猫が下痢気味のときはどう対処する?フードを見直してみよう」をご覧ください。
健康被害の危険も!添加物と4Dミートに注意
キャットフードには、人間の食べ物には使ってはいけないような添加物や原材料が使用されていることがあります。安いペットフードの酸化防止剤に使われるBHAやBHTは、人間の食べるものには一部を除いて使用が禁止されている発がん性のある物質です。これ以外にも、エトキシキンという防腐剤は危険な添加物です。
また、原材料に具体的な肉の名前(チキン、ターキーなど)ではなく「肉類」と表記されているものにも注意が必要です。肉類には、動物のとさかやくちばし、廃棄物となるような部位が含まれていることもあります。
さらに恐ろしいのは「4Dミート」と呼ばれる粗悪な肉です。これらは病気で死んだ動物の肉などで、ほとんどの場合こうした肉は大腸菌やサルモネラ菌に汚染されています。輸送の際には保存料浸けにされますが、このときに使用された保存料が危険なものでも、ペットフードの袋に表示する義務はありません。
まとめると、
・原材料は一番左上に「肉類」ではなく具体的な食材名の動物性タンパク質が表記されている
・原材料表記の最初から3番目までに穀物が記載されてない
・BHA、BHT、エトキシキンなどの添加物が入っていない
最低でもこの3点をクリアしているキャットフードを選ぶべきということですね。
安価なフードは買いやすいかもしれませんが、その分粗悪な原材料を使っていたり、添加物を多く使用していたりします。大事な愛猫に1日でも元気でいてほしいなら、多少値段は高くなるかもしれませんが、肉材料をメインとした無添加のプレミアムキャットフードを与えることをおすすめします。
品質の良いキャットフードはどれ?値段も分かるオススメフード一覧
可愛い愛猫に元気でいてもらうためにも、品質が良く理想的な栄養バランスのキャットフードを与えたいものです。最近では店頭販売されているフード以外にも、ネット通販でのみ購入できるプレミアムフードの種類が増えてきました。
栄養面と安全性を考えて、1~6歳の成猫にオススメのキャットフードをまとめてみました。それぞれの特長と、購入方法や価格も併せて紹介しますので、フード選びの参考にしてください。(値段は公式サイトで都度1袋購入した場合の金額)
・カナガンキャットフード…猫の健康に配慮した原材料が特長。美味しさを追求しているので、他のフードを食べない子にもオススメ。
公式サイト、Amazonで購入可能。価格は1.5kgで3960円(定期コース割引あり)
・シンプリーキャットフード…魚を主原料としたプレミアムフード。以前は米が使用されていたが、2016年にリニューアルしてからは完全なグレインフリー(穀物不使用)に。
公式サイト、Amazonで購入可能。価格は1.5kgで3960円(定期コース割引あり)
・モグニャンキャットフード…ヒューマングレードの白身魚をメインとした良質な原材料を使用。脂質の割合が少し低めだがタンパク質の量は十分。
公式サイトで購入可能。価格は1.5kgで3960円(定期コース割引あり)
・ジャガーキャットフード…肉材料をぜいたくに使った、タンパク質40%以上のプレミアムフード。グレインフリー。
公式サイトで購入可能。価格は1.5kgで4280円(定期コース割引あり)
・オリジンキャット&キトゥン…無添加とグレインフリーにこだわった高タンパクのプレミアムフード。3種類の内容量がある。
公式サイトで購入可能。価格は340gで1458円、2.27kgで7344円、6.8kgで15120円(アカナファミリージャパンの公式サイトに問い合わせ窓口あり)
紹介した5つの商品は、どれもタンパク質の割合が30%以上で穀物不使用、危険な添加物を使用していない優良なフードです。市販のフードと比べると高く感じるかもしれませんが、病気になって高額な医療費を払うよりはずっと安いと考えることもできます。
猫が健康でいるためには、野生で食べていたものに近い食事を与えるのが一番です。動物性のタンパク質が十分に含まれていて、エネルギーとなる脂質も十分なものがベストです。穀物は使用していないか、できる限り少ないものにしてください。
大切な家族に元気でいてもらうためにも、あなたがしっかりと食事の内容を考えなければなりません。安いからといって、粗悪な原材料や危険な添加物が使用されているフードを与えるのはおすすめできません。質の良い食事を与えて、1日でも長く元気な愛猫と暮らしましょう。